花粉症の症状改善とLGG®乳酸菌

研究1

2つのプロバイオティクスで調整した発酵乳のプラセボ比較二重盲検プラセボ対照比較試験によるスギ花粉症患者へ与える影響

〈 研究1 〉

2つのプロバイオティクスで調整した発酵乳のプラセボ比較二重盲検プラセボ対照比較試験によるスギ花粉症患者へ与える影響

背景

多くの先進国同様、日本でもアレルギー性疾患が深刻な問題となっています。そのひとつが、春にスギ花粉の主要アレルゲン(Cry j 1とCry j 2)によって引き起こされる季節性アレルギー性鼻炎(JCP)です。JCPは、くしゃみ、鼻漏、鼻閉、眼のかゆみなどが主な症状であり、患者とその家族のQOLを低下させ、仕事の生産性や学業成績を低下させ、社会活動に支障をきたす可能性があります。
JCPの治療には、抗ヒスタミン剤やマスト細胞安定化剤などの抗アレルギー剤が使用されています。しかし、現在使用されている薬剤の副作用や薬価の上昇により、JCPの治療や予防における代替策の探索に大きな関心が持たれています。
プロバイオティクス細菌は、ヒトの腸内細菌叢の機能と代謝活性を調節する安全かつ実用的な手段を提供すると考えられ、アレルギー疾患の治療にプロバイオティクス細菌を使用する可能性について多くの関心が持たれています。

目的

この研究の目的は、LGG®乳酸菌およびTMC0356乳酸菌(ラクトバチルス ガセリTMC0356株)のスギ花粉による季節性アレルギー性鼻炎(JCP)緩和効果を調べることです。

方法

JCPの臨床歴のある40名を対象に、LGG®乳酸菌およびTMC0356乳酸菌で調製した発酵乳(発酵乳群、n=21)またはヨーグルト(プラセボ群、n=19)を10週間投与し、花粉症の自覚症状等を両群間で比較しました。

また、糞便サンプルより、試験前(0 週目)と試験後(10 週目)に花粉症患者(発酵乳群 14 名、プラセボ群 11 名)の DNAを抽出し、次世代シークエンサーを用いて、これまで培養法では検出できなかった細菌を含む全ての腸内細菌を解析し、発酵乳摂取が花粉症患者の腸内細菌の構成に与える影響を詳細に検討しました。

結果
  • LGG®乳酸菌と TMC0356 乳酸菌を用いた発酵乳を摂取することで、鼻づまりの自覚症状を改善しました【図1】。

  • 【図1】花粉症患者の鼻づまり自覚症状に与える影響

    **p<0.01, *P<0.05 (Mann-Whitney U test)

  • 試験前後で被験者の糞便よりDNAを抽出し、腸内細菌の占有率を網羅的に解析した結果、発酵乳を摂取した被験者では乳酸菌を含む数種類の腸内細菌占有率が変動し、腸内細菌の多様性が増加しました【図2】。

  • 【図2】試験前と試験後の腸内細菌の多様性について

    *p<0.05(Mann-Whitney U test)

結論

「LGG®乳酸菌」と「TMC0356 乳酸菌」で調製した発酵乳の摂取は花粉症患者の偏った腸内細菌を多様化させ、腸内細菌のバランスを改善し宿主の免疫応答を制御することで、花粉症の症状を軽減させている可能性が考えられます。

【出典】Kawase et al. Int J Food Microbiol. 128:429-434 (2009)
Harata et al. Eur J Nutr 56:2245-2253 (2017)
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