ロタウイルス感染症とLGG®乳酸菌
乳幼児の院内感染の下痢予防におけるLGG®乳酸菌の有効性
急性下痢症の小児に対するLGG®乳酸菌の経口補水液投与の有効性
乳幼児の院内感染の下痢予防におけるLGG®乳酸菌の有効性
院内感染による下痢は、世界の小児科病院において大きな問題となっています。そこで、乳幼児の院内感染の下痢におけるLGG®乳酸菌投与の有効性を評価しました。
下痢以外の理由で入院した生後1~36ヵ月の乳幼児81名を対象に、LGG®乳酸菌(n=45)またはプラセボ(n=36)を入院期間中1日2回経口投与しました。
LGG®乳酸菌群では、プラセボ群よりも院内感染での下痢(24時間で3回以上の緩い便または水様便である場合)のリスクが低下しました(LGG®乳酸菌群6.7% vs プラセボ群33.3%)【図1】。
ロタウイルス感染症の有病率はLGG®乳酸菌群とプラセボ群で同程度(20% vs 27.8%)でしたが、LGG®乳酸菌群では、プラセボ群よりもロタウイルス胃腸炎のリスクが有意に減少しました(2.2% vs 16.7%)【図2】。
LGG®乳酸菌の予防的投与は、乳幼児の院内感染の下痢、特にロタウイルス胃腸炎のリスクを有意に低下させました。
急性下痢症の小児に対するLGG®乳酸菌の経口補水液投与の有効性
プロバイオティクスであるLGG®乳酸菌は、ロタウイルス胃腸炎の小児の急性水様性下痢をより迅速に回復するのに有効であると考えられています。しかし、ロタウイルス以外が原因の下痢症に対するプロバイオティクスの役割については、非常に限られた情報しか得られていません。さらに、経口補水療法の経口補水液にLGG®乳酸菌を補充した場合の有効性に関するエビデンスは得られていません。そこで、あらゆる原因の急性下痢症患者を対象に、経口補水液へのLGG®乳酸菌補充の有効性を評価するための多施設共同試験を実施しました。
生後1ヵ月から3歳までの急性下痢症の乳幼児にLGG®乳酸菌またはプラセボを補充した経口補水液を投与しました。
LGG®乳酸菌群とプラセボ群で、入院時の年齢、性別、登録前の栄養補給の種類や下痢期間、抗生物質の使用、体重、身長、体重、身長比、発熱の有無、全身状態、脱水の程度、入院患者と外来患者の割合に差はありませんでした。
下痢の持続時間は、LGG®乳酸菌群58.3時間、プラセボ群71.9時間でした。ロタウイルス陽性の小児ではLGG®乳酸菌群56.2時間に対してプラセボ群76.6時間でした【図1】。
7日以上続く下痢の発症率は、LGG®乳酸菌群2.7%、プラセボ群10.7%でした【図2】。
また入院期間は、LGG®乳酸菌群で原因に関係なく検討したすべての患者およびロタウイルス陽性者において統計的に有意でした。
LGG®乳酸菌を含む経口補水液を急性下痢症の小児に投与することは安全であり、下痢の持続時間が短く、経過が長期化しにくく、退院が早くなるという結果が得られました。