抗生物質による下痢とLGG®乳酸菌
小児の抗生物質関連下痢の予防におけるLGG®乳酸菌の効果
ピロリ菌除菌療法におけるLGG®乳酸菌の経口投与が抗生物質による消化器系の副作用に及ぼす影響について
小児の抗生物質関連下痢の予防におけるLGG®乳酸菌の効果
本研究の目的は、急性感染症の小児を対象に、LGG®乳酸菌を経口抗生物質と併用した場合の抗生物質関連下痢の発生抑制効果を明らかにすることです。
外来で抗生物質の経口投与を受けている小児188名(生後6ヵ月~10歳)にLGG®乳酸菌またはプラセボを投与し、保護者には3日ごとに調査員が電話連絡を行い、消化器症状(主に便の回数と硬さ)の発生状況について質問しました。
1日2回以上の液状便で定義される下痢の発症者は、LGG®乳酸菌群が7名(8%)、プラセボ群が25名(26%)でした【図1】。
LGG®乳酸菌群では、プラセボ群に比べ抗生物質治療中の10日目までに、全体的に便の回数を減らし、便の硬さを増加させました【図2、図3】。
LGG®乳酸菌は、一般的な小児感染症に対する経口抗生物質治療を受けた小児における抗生物質関連下痢の発生を減少させることがわかりました。
ピロリ菌除菌療法におけるLGG®乳酸菌の経口投与が抗生物質による消化器系の副作用に及ぼす影響について
ピロリ菌の除菌療法とは、3種類の抗生物質を1日2回、7日間服用する治療法です。除菌療法の服薬では胃腸の副作用がおこることがあります。このような薬物関連症状の予防、軽減にLGG®乳酸菌の投与が有効な可能性があります。
この研究の目的は、ピロリ菌除菌療法に対するLGG®乳酸菌の投与が、胃腸の副作用の予防や負担の軽減につながるかどうかを明らかにすることです。
ピロリ菌に感染した成人60名に、ラベプラゾール、クラリスロマイシン、チニダゾールの3種類の抗生剤を1週間およびLGG®乳酸菌またはプラセボを14日間投与しました。患者は、治療開始週とその後の3週間、アンケートに回答し、副作用の種類と重症度、および忍容性の総合的な判定を行いました。
下痢、吐き気、味覚障害は、LGG®乳酸菌群で有意に減少しました【図1】。
治療の忍容性の総合評価では、LGG®乳酸菌群に有利な有意差が認められました【図2】。
LGG®乳酸菌の投与は、H. pylori治療関連の副作用および全体的な治療の忍容性※にプラスの影響を与えました。
※忍容性:薬物の服用・投与によって患者に生じる副作用の程度。副作用が比較的軽く、十分に許容できる程度の場合、忍容性が高いといい、逆に、副作用が耐え難い場合、忍容性が低いという。
長期間の抗生物質の使用により、クロストリジウム・ディフィシル感染症(CD)に罹患する場合があります。これは通常時は何も問題を起こさない腸内細菌であるクロストリジウム・ディフィシルが毒素を出すことで重篤な腸炎や下痢を発症します。この疾患に対して、LGG®乳酸菌を摂取することで有益な影響があることが報告されています。
Pochapin et al. Am J Gastroenterol 95:S11-13 (2000)